ロアティメ家の日常


「元気なのはいいことなのだけどね…。今日も片付けに時間がかかりそうだなあ。」

 

翼竜の背に乗って空を駆ける竜騎士。唯一各地の空を飛びまわることが許され、武術学問共にトップクラスのヒトしかなれないその職業は、歴代子供の憧れである。

 

そんな竜騎士ごっこをするレティと翼竜のジェイド。そして二人に付き合わされるトマフ。

二人の父は苦笑い。

「やっと見つけたっすよ!」

 

勝手に屋敷を抜け出しては街をうろついているトマフ。

彼の世話係兼お目付け役であるカーシーは毎回街を飛び回り、彼を屋敷に連れ戻している。

カーシーの苦労はまだまだ続きそうだ…。

「この武器ありますか!」

 

流通の中心であるこの場所はいつも賑やか。

あらゆるものが取引されている。

 

古い武器も取り扱う武器屋で、本でしか見た事がない打撃武器を探しているトマフ。

店主とはいまいち話がかみ合ってない。

 

「ドキドキワクワクの試験ですわ。」

今日は麦栽培士検定の試験の日。

広大な麦畑を横切る鉄道馬車に乗り、試験会場の近くにきたレティとポーレット。

本来は貨物馬車なのでお世辞にも乗り心地が良いとは言えないが、見聞を広めることができて楽しそうなお嬢様。

「いいか。海ではなにが起こるかわからん。絶対に勝手な行動はするんじゃないぞ。」

 

 

トマフの父方の祖父は辺境伯。海の民と争っていた時代からずっと海岸沿いを治めている。

かわいい孫を危険な船旅には行かせたくないので必死に説得しているが、その程度でトマフの決意は揺らがない。

辺境伯はその後、数週間胃の痛みに悩まされたという。