だれかの日記

 

 

4/9

日記をつけることにしたわ。

ええ、すごく良い人に出会ったの。あいつらは私のことを化け物だといじめるけれど、あの人は違ったわ。あいつらが投げた石で怪我をした私に゙大丈夫゙って声をかけてくれたのよ。それだけじゃないの。綺麗な白いハンカチをくれたの。返さなくても良いですって。

あの人がお母さんだったらいいのに。

 

4/17

お面に花を描いてみたわ。そうよ。あのハンカチについていた刺繍を参考にしたの。あの人とまた会えるかしら。

 

6/20

ねえ、あの人なんて言ったと思う?”お面の模様素敵ね”ですって!嬉しい!嬉しい!!

 

6/26

あの人の住んでいるところを教えてもらったわ。あの人の後をついていったの。もう何度もお話ししてるもの、家くらい教えてくれるわよね。

すごく大きな家だったわ。お金持ちなのかしら。

 

6/27

あの人の部屋は3階の右から2番目の窓の部屋だったわ。カーテンレースもハンカチの刺繍と同じ模様なの。あの人にぴったりね。

 

6/28

外に出ないのかしら。ずっと家の中にいるみたい。

 

6/29

窓からあの人の影が見えたわ。何をしているのかしら。

 

6/30

小さい子が大人の男と一緒にあの人の家に入ったわ。はじめて見る顔よ。あの人の親戚?

挨拶した方が良かったかしら。

 

7/1

あの人の家から楽しそうな笑い声が聞こえるの。

パーティーでもしてるのかしら。私は呼んでくれないの?

 

7/2

あの人が久しぶりに外に出てきたわ。二日前に来た小さい子と男と一緒に。すごく仲が良さそうだった。誰なの?私に紹介してくれないの?

 

7/3

一人で外に出ていたから、驚かせようと思ってあの人に後ろから抱きついたの。すごくビックリしていたけど、笑って私の頭を撫でてくれたわ。

明日も会う約束をしたのよ。とっても楽しみ!

 

7/4

明後日から遠くへ行っちゃうなんてイヤよ!来年まで会えないなんて!!でもいいのよ。ワガママ言ってあの人を困らせたくないもの。

それに遠く離れていても私たち、心は通じあってるものね。

明日も会う約束をしたわ。

 

7/5

あの人も他と一緒だった。私の目のせい?それともあの人の目のせい?

あの人も私と一緒にすれば私を拒否しない?

 

7/25

糸と針を買った。

 

8/19

うさぎが罠にかかった。もうひとつほしい。

 

8/27

カエルが沢山いたから何匹かつかまえた。

最初は簡単そうなものからやってみる。

 

8/28

うさぎにカエルの手足をつけた。少しの間は生きているみたいだったけどすぐに死んじゃった。もっと色々試さなきゃ。

 

9/2

猫と鳥。

 

9/8

余っていたカエルと犬。

 

10/4

母さんとネズミ。滑稽ね。

 

10/23

魔物と芋虫。

 

10/30

植物と魔物。魔物は中々死なないからいいわね。

 

[略]

 

2/7

この方法なら少しだけ長生きさせられる!上出来よ。

 

[略]

 

7/25

人に見つかった。パニックになって殴っちゃった。でもまだ死んでない。ついでだからこれで試すことにする。

 

7/29

村の方が騒がしい。一人行方不明だって。私を疑ってるみたい。あいつらはきっと私がやったんじゃなくても私を吊るすでしょうね。不幸は都合の悪い存在に押し付けるのが人だもの。

絶対に殺されてあげない。

 

8/1

昨日聞いたの。私を火にかけるって。

だから村の井戸に毒を入れた。村のやつらはあの水を絶対飲むもの。飲まずに生きてるのは私が直接殺せばいいわ。

 

8/2

帰ってきた!帰ってきた!!あの人一人で!

もちろん私の家につれてきたわ。どんな風にしよう?

 

8/4

すごくいい!私と同じ1つ目にして、手足も黒くしたのよ。それだけじゃ寂しかったから、沢山の鳥の羽を使って大きな翼もつけてあげたわ。聖母様みたいにね。

明日、あの人の息子が来るんですって。だからあの人はそいつのものじゃなく、私のだってわかるように、あの人の家の庭にあの人を連れていったの。

 

8/5

とってもいい気分!!!

あの人はもう死んじゃったけどいいの。私のもののまま死んだんだもの。死んでも私のものよね?

ああ、そう。あの人の息子が兵を呼んだみたい。別の街に行くことにするわ。あの人も一緒にね。

あの人は砂漠の国生まれだって言ってたわ。じゃあ反対に緑の多い場所に行こうかしら。楽しみね。

 

[ここから後は白紙のページが続いている]